病の起源(2)食事の問題

病の原因のチャート図 体のこと

事故、怪我、感染症、過度の冷えや暑さなど、体の外部からの原因で健康を害することがあります。でもそういった原因がなくても私たちの体には病がやってきます。病はどこからやってくるのでしょうか。

(この記事は「病の起源(1)病とは、健康とは」の続きです)

病を引き起こすもの

前回の記事では、病とは次の2つの状態で、これらはそれぞれに影響を与え合っている、というところを見てきました。

  • 体の形や構造が変化している
  • 体の働きが異常である

ここからは、この2つを引き起こす原因について考えてみます。(事故、怪我などの突発的な原因はここでは省きます)

病の原因のチャート図

まず「体の形や構造の変化」を引き起こすのものについてですが、これはダイレクトに「体を作り変える材料が足りない」ということが大きな原因になると思います(図の①)。材料がなければ古くなった細胞を作り変えることができないので、体の様々な部分の修復ができなくなり、徐々に体の形がおかしくなっていきます。そして材料の不足は、食事で必要な栄養素を摂っていないことが原因として挙げられます。(図の①)

次に「体の働きの異常」を引き起こす原因ですが、これも「体を動かすエネルギー」が足りないということに行き着くかと思います(図の②)。物質的な面から見ると、エネルギーとなる栄養素が足りていない、ということになるし、また気的な面から見ると正気(せいき)が不足している、ということになります(正気については下節の「正気の不足」をご覧ください)。どちらも普段の食事で、必要な栄養素と正気を十分に取り入れていないということだと思います。(図の②)

もう一つ「体の働きの異常」を引き起こす原因として、正気を無駄に消耗しているということが挙げられます(図の③)。食事で十分な正気をとっていても、せっかく取り入れた正気を無駄遣いしていると正気が足りなくなって体の働きはおかしくなっていきます。このことと深く関係するのは、体に入ってくる食品添加物や農薬、また日常生活に潜む問題です(図の③)。食品添加物や農薬を含む食品を摂っていると、これらを処理するために多くの正気が必要になります。また日常生活において不摂生をしていたり、過度にストレスを抱えていると正気を無駄に消耗してしまいます。食事や生活習慣に正気を消耗する原因が潜んでいるのです。

これらを詳しく見ていきます。

食事の問題

栄養素の不足

普段の食事で体に必要な栄養素を摂っていないと、体を作り変える材料や、体を動かすエネルギーが足りなくなっていきます。そしてこの状態が長く続くと、病が引き起こされます。

栄養素には糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素に加えて、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素があります。体に必要な栄養素の中には体内で合成できないものもあるので、食事で必ず取り入れなくてはなりません。必要な栄養素やそれらが含まれる食品について、詳しくは栄養学で説明されていますのでそちらに譲りますが、注意しなくてはいけないことは「偏らないこと」だと思います。

「野菜は体に良くて、お肉は体に悪い」とか「糖質を摂りすぎないように生野菜でお腹を満たして」という話を耳にします。ある面から見ると正しそうに聞こえますが、これらも行き過ぎると栄養の偏りが出てきてしまいます。結局のところバランスが大事で、「何が良くて、何が悪い」ということはそもそもありません。お肉もビタミンやミネラルが豊富ですし、何よりも良質なタンパク質と脂質を多く含んでいます。消化器に負担がかからない程度であれば食べたほうがいいように思います。また確かに糖質の摂りすぎはよくありませんが、だからと言って主食の穀物を減らすのはどうでしょうか。糖質を摂りすぎないようにするのであれば、お菓子やジュースなどの嗜好品を減らすほうがいいように思います。栄養素はなるべく満遍なく、必要なものをバランスよく摂ることが大切です。(血糖値のコントロールが必要な場合はこの限りではありません)

正気の不足

心臓の図

以前の記事「健康について(1)健康とは形、働きが正しいこと」にも書きましたが、私たちの体は、物質的な体と気的な体が合わさってできています。心臓も腎臓も、物質的な心臓(や腎臓)と気的な心臓(や腎臓)が重なっています。正気は東洋医学で伝えられる気の一種で、体を正しく動かすエネルギーです。気的な体に正気が十分含まれていれば、その部分は正しく動きだします。つまり私たちの体を正しく働かせるためには、正気が必要なのです。

(気についてはこちらの記事にもまとめています。タグ「気」のインデックスの「気について(1)〜(6)」)

正気は新鮮な食品に多く含まれます。そして食材を入手してから料理として提供されるまでの時間が短いほど正気は豊富です。正気は生き物の生命エネルギーですので、新鮮なほうが多く含まれるのです。反面、冷凍食品やファストフードや宅配の料理などの加工食品は正気があまり含まれません。食材として手に入れてから料理になるまでに時間がかかり、その間に正気が減ってしまうからです。

食事で正気を十分補うためには、新鮮な食材、欲を言えば旬のものをふんだんに使って、手早く料理していただくというのが理想です。3食とも手料理でというと大変なのですが、自宅で料理するほうが正気の点でも、また後で説明するように食品添加物の点でも安心です。お昼の時間帯に自宅にいないようであればお弁当を作って、コンビニや外食を控えます。また自宅の料理やお弁当には冷凍食品を使わないようにするのがいいと思います。

現代のライフスタイルには少し合わないかと思いますが、体に正気を十分取り入れるのはこういったことを意識する必要があります。食事に人生のパワーを充てていくということが健康のためには不可欠なのです。

食品添加物、農薬

意識していないと、現代の食生活は食品添加物でいっぱいになってしまいます。先の記事(健康について(2)健康にも資源が必要)に書いた通り、食品添加物は安全性をクリアーしてはいますが、現在のように広く使われるようになってまだ100年足らずですし、長く食べ続けると体にどんな影響があるかは分かっていません。同じことが農薬についても言えます。短期的な健康への害については問題ないことが確認されていますが、10年、20年先のことはわからない、というのが本当のところだと思います。

正気の面から見ても食品添加物や農薬は体に負担をかけるので避けたほうがいいように思います。食品添加物や農薬は自然界には存在しない純度の化学物質が使われていますので、こういった食品は消化の際に多くの正気を消耗します。また体に害のある物質が含まれている場合、肝臓で解毒する必要が生じてきて、この解毒にも多くの正気が必要になります。食事で正気を補っても食品添加物や農薬が入っていると、結果として正気が足りなくなってしまうのです。

コンビニやファストフード店の食品は加工食品であるだけでなく、食品添加物が多く使われていますので、正気の面からはお勧めできません。では普通の飲食店は大丈夫なのかというと、食品添加物や農薬を使わないことを意識している飲食店であれば安心ですが、そのようなお店は少ないのが現状です。無農薬の食材は割高で流通量も少ないですし、食品添加物を減らしていくと使える調味料が限られるため、経営していくのがとても難しいのではないでしょうか。そういった点から、食品添加物や農薬を避けるためには、自宅で安心できる食材で料理するのがいい、ということになります。

近所のスーパーマーケットに無農薬の食材がない、という場合もあるかと思います。無農薬の食材を選ぶ方も少しずつ増えてきていますので、無農薬野菜や、飼育の過程で薬を使っていない畜産物を中心に宅配してくれる会社も増えつつあります。こういったサービスを利用するのもお勧めです。(続く)