病の起源(1)病とは、健康とは

病の状態についての図 体のこと

事故、怪我、感染症、過度の冷えや暑さなど、外からの原因で健康を害することがあります。ですが、こういったはっきりした原因がなくても私たちの体は調子が悪くなりますし、それらがひどくなると病気につながっていきます。病気はいったいどこからやって来るのでしょうか。

いろんな方のお体を東洋医学と現代医学の両面から見ていく中で、病気がどこからやってくるのかが少しずつ分かってきました。今回は、病の起源(あくまでも私の考えですが)について書いてみたいと思います。

病とは、健康とは

健康について

病についての話なのですが、まずは健康について見ていきます。健康がどんなものかわからないと病もどのような状態か分からないからです。

健康とはどんな状態かというと、私は次の3つが満たされた状態だと思っています。(詳しくは以前の記事「健康について(1)健康とは形、働きが正しいこと」「健康について(2)健康にも資源が必要」をご覧ください)

  1. 体の外側や内部の、形や構造が正しい
  2. 体の各部分の働きが正しい
  3. 体を動かすのに必要な資源が揃っている
健康の図

まず1についてですが、例えば食道が胃につながっていなかったら、食べたものがきちんと消化されません。また脳からの神経が内臓につながっていなかったら、内臓が正しく動かなくなってしまいます。このように体の形や構造が正しくないと、健康とは言えないのです。

次に2を見ていくと、例えば胃や小腸など内臓の働きが正しくないと色々と不調が出てきます。内臓だけでなく、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりも困りますし、また血圧などが高すぎても低すぎても問題があります。このように体の各部分の働きが正しくないと、やはり健康とは言えないのです。

そして3ですが、体を動かすのに必要な資源、例えば酸素などのエネルギー源や、体の材料となるタンパク質などが足りないのも健康とは言えません。

このように、健康とは1、2、3が満たされていることだと思います。

病について

次に病について考えてみます。先の1、2、3が健康の条件だとすると、病はこれらが失われた状態ということになります。

病の状態についての図

まず、先の1が失われて体の形や構造が変化している場合を考えてみます。例えば大腸の粘膜に腫れ物ができている、心臓の血管が詰まっている、となると、それは健康ではなく「病」の状態です。次に2が失われて体の働きがおかしくなった場合ですが、例えば心臓の働きが低下して全身に血液を十分に送れない、胃の働きが低下していつも痛みがある、となるとこれも「病」になったと言えると思います。

このように先の1と2が失われた状態であると、それは「病」と言えるのだと思います。

次に先ほどの3「体に必要な資源が揃っている」が失われた場合を考えてみます。これについては「資源が揃っていない」ということ自体は病ではなくて、これはむしろ病気を引き起こす原因になると考えられます。3が失われて体に必要な資源が足りなくなると、体を作る材料が不足して体の形や構造を維持できなくなったり、体を動かすエネルギーが足りなって体の働きが失われたりします。つまり3が失われると「病」が引き起こされるのです。

このように見ていくと、病とは、

  • 体の形や構造が変化している
  • 体の働きが異常である

という2つの状態を指すのだと思います。

病の2つの状態の関わり合い

先の病の2つの状態についてもう少し考えると、これらはお互いに影響を与え合っていることが分かります。

上の図の心臓の例で考えると、心臓の血管が詰まるとどうなるかというと、心臓に十分血液が巡らなくなり、心臓の働きがおかしくなっていきます。他にも例えば胃や十二指腸の分泌腺が詰まると、消化液が出なくなって消化機能が低下します。このように体の形や構造が変化すると、体の働きもおかしくなるのです。

逆に体の働きがおかしくなった場合はどうでしょうか。ここでは主に体を修復する働きに注目します。体は日々使い込まれて少しずつ傷ついていきますが、傷ついた部分は私たちの体が自ら修復していきます。体の働きがおかしくなるとこの自己修復の働きが低下して、傷ついた部分がそのままとなり、体の形や構造は少しずつ変化してしまいます。つまり体の形や構造が変化していくのです。

このように病の2つの状態はお互いに影響を与え合います。そして実際の所は、影響を与え合いながらより悪化していきます。最初は大したことのない形の変化であってもそれによって働きがおかしくなり、働きがおかしくなったことでさらに形が大きく変化していく、という具合に少しずつ病の状態が進んでいくのです。

ここまで見てくると、病というものが少し分かってきました。病とは「体の形や構造が変化している」「体の働きが異常である」という状態で、これらはお互いに影響しあって少しずつ悪化していくのです。

では病を引き起こす原因とは何でしょうか。(続く)