推拿(すいな)は体を中から整える手技療法

推拿(すいな)という手技療法をご存知でしょうか。日本ではあまり馴染みがないですが、中国ではとても一般的な手技療法として、広く知られています。

推拿は中国に古代から伝わる、様々なマッサージ手法を引き継いだ手技療法です。歴史は古く、紀元前から人々の健康維持と、疾病改善のために利用されてきました。かつては按摩と呼ばれていましたが、時代を経て、明代から推拿と呼ばれるようになりました。

中国に伝統的に伝えられている医療があり、中国伝統医学と呼ばれています。中国伝統医学は、現代医学と同じように基礎理論、診断学、病理学、治療学を有しており、一定の医学体系を成しています。その中の治療学に含まれるのが、鍼灸、湯液(漢方)、導引(気功)、推拿の4つです。つまり、推拿は中国伝統医学の治療手段の一つとなります。

日本で行われている一般的なマッサージと推拿との違いは、推拿には、経絡(けいらく)と経穴(けいけつ)の考え方がある、という点だと思います。体には気の通り道である経絡と呼ばれるルートがあり、経絡上には体の反応点である経穴(ツボ)があります。推拿では、経絡と経穴を使い、ただ筋肉をほぐすのではなく、内臓の働きを調整したり、血液や気の流れを積極的に改善していきます。推拿は、体を中から整える手技療法なのです。

もう一つ推拿で特徴的なのは、推拿にしかない独特の手技です。推拿には、無理な力を用いずに、体の奥にまで刺激を浸透させる、さまざまな手技があります。これらによる刺激は、体の表面の当たりはソフトですが、その効果は体の奥にまで浸透します。言わば「優しく、深い」刺激です。

推拿の代表的な手技「こん法」

推拿の施術を受けると、全身の血流が良くなることを体感していただけると思います。血液だけでなく、気の流れ、リンパの流れなども良くなり、体が持つ本来の働きが活性化されます。

短時間で体の状態を整え、体の働きを正常化する、そういった効果が推拿にはあります。日々の疲労の回復や、健康維持、体調の改善にお勧めです。