気について(1)気はどんなものか

気の種類 体のこと

東洋医学には「気」というものが出てきます。このブログの記事にも何度か気のことが出てきました。気とはいったい何なのでしょうか。今回は気について書いてみます。

(この文章はあくまでも私の個人的な考えであることをご承知おきください)

気について、本にはあまり書かれていません

東洋医学において気はとても重要です。少なくとも東洋医学に関するどんな書物にもそのように書いてあります。そうなのですが、どの本を見ても「気」についてはいまいち分かりにくく、とらえようのない書き方をされています。

例えば「やさしい中医学入門」という本には次のように書かれています。

気は、物質であり、消耗したり補充したりすることができる。気は、昇降出入の運動性を持ち、生理機能の中心をなす。

やさしい中医学入門, 関口善太著, 東洋学術出版社, 1993, 16p

この文章を読むと、「気は体の中心的なもの」ということは分かるのですが、いまいちイメージがしにくく「で、実際のところどんなものなの」という言葉しか湧いてきません。他の東洋医学の本でも大体似たようなことが書いてあります。「生命の根本」とか「体を構成する基本的なもの」などです。体にとって気は大切なものということは伝わるのですが、具体的なイメージがとらえにくいのです。

はてな

なぜそうなるのかというと、これらには「気の性質や働き」しか書かれておらず、具体的な形や質感が書かれていないからだと思います。例えば懐中電灯を説明するのに「光を発する物質」としか書いていないとちょっと不親切ですよね。「光を発する筒状で手に持てる大きさの道具」と書けばとても分かりやすい。ところが、世の中にある東洋医学の本はこのように書かれてはいないのです。

では伝承されている過去の書物はどうでしょうか。東洋医学の原典と言われているのは紀元前に中国で編纂された黄帝内経(こうていだいけい)という書物です。私の知る限りでは、黄帝内経も気については、その働きと性質についての記述がほとんどです。でも一部、気がどのようなものか書かれている箇所があります。

上焦開發 宣五穀味 熏膚充身澤毛 若霧露之漑 是謂気

袖珍中医四部経典《黄帝内経》霊枢「決気第三十」, 天津科学技術出版社, 2000, 392p

「上焦が開いて飲食物の精を散布して、皮膚を温め(燻し)、身を満たし、毛髪を潤し、霧や露のように全身に注ぐものが気である」

これをみると古代に東洋医学を作り上げた人たちは、気を「霧や露のように」感じていたようです。

気はどんなものか

体の構成

気はどんなものか、あくまでも個人的な感触ですが、私は次のように感じています。

  1. 気は物質(人や物)に重なって雲のように存在している
  2. 気は物質とは違うところ(次元?)にある
  3. 気は目に見えず(見える人もいるようですが)、物質のようには触ることができない
  4. 気の中でも体にとって良いものは、温かく、心地よい感触がある(正気と呼ばれます)
  5. 体に害を及ぼす気は、冷たかったり、熱かったり、ビリビリとした刺激感があり、不快な感触がある(邪気と呼ばれます)
  6. 物や場所にも気はあり、体に合うものは心地よく、合わないものは不快感がある

黄帝内経に書かれていたのと同じく、私も気を雲のように感じています。体に重なって雲か霞か、時には薄く、また密度が濃い時もあります。そしておそらく物質とは違うところ(違う次元?という表現でいいのかわからないのですが)に存在していて、物を触るような感触では触れることはできません。「違うところ」というのがうまく説明できないのですが、私たちの肉体が存在している4次元(縦、横、高さ、時間)の世界ではないと思います。気はおそらく物質ではなく、何かエネルギーのようなものではないでしょうか。

気の種類

そして気にも種類があります。体によく馴染み、体の働きを促しているのは「正気」と呼ばれる気で、温かく、心地よいものとして感じられます。体の中の気を感じていくと、正気が多くあるところは働きが正常で、正気が少ないところは動きが悪くなっていることが分かります。正気は体を動かすエネルギーなのです。

心臓の図

逆に体に害を及ぼす気もあり、邪気と呼ばれています。ヒヤッとしたり、熱かったり、ビリビリ、バチっと感じたり、チクっと刺されたり、不快な感触です。体で邪気を感じるところは何か不具合があるところが多く、細菌やウイルスが繁殖していたり、炎症が起きていたり、筋肉や靭帯が損傷していたり、気の流れが悪くなって停滞していたり、さまざまですが、そのようなところには邪気があることが多いです。

また気は物や場所にも存在します。身につけていて心地が良い物、訪れると気持ちのいい場所などがありますが、このような物や場所は、私たちの体の気と同じような気を帯びていて、そのため心地よく感じるのです。また正気に近い気を帯びている物を身に付けていると、体に正気が増えて健康になれます。同じように正気に近い気の場所を訪れると体調が良くなります。このように体にとっていい気を帯びた物を身につけたり、良い気の場所に住むようにすることで、病気を避け、健康に過ごすことができます。

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